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レッドブル・エアレースではコースを折り返す際の水平・垂直ターンで、パイロットに掛かる最大重力加速度が規定の数値を超えてはならないというルールがあります。
これまでは最大10Gでしたが、2018年シーズンから12Gに変更となりましたが、そもそも大きなG(重力加速度)を感じるって、どのような体験なのでしょうか?
日本人唯一のパイロットの室屋義秀選手に聞いてみました!
※Gは加速度を表す単位でGravity(重力)の頭文字。地上での重力加速度G≒9.8m/s2を単位としたもの。
–そもそも12Gの世界とは?どんな乗り物で体験できるのでしょうか?
12Gを感じられる乗り物やスポーツはありません。旅客機で翼を30度ほど傾けて旋回するときや、高速エレベーターが停止するときに一瞬グッとかかるGが約1.1G。12Gというのは、その120倍のGがかかっている状況の事です。
–エアレース中にパイロットはどうやってGの数値を知ることができるのですか?
計器で計測していますが、レース中に高いGに到達するまで0.4秒ほどと一瞬なので、計器にたよらずに体で反応できるよう訓練をしています。
–普通の人たちが耐えられるGは?
一般の人々が生理的に耐えられるのが1~6G(心臓のポンプ能力とGによる負荷が釣り合う、生理的な限界点)まで。
戦闘機でドッグファイトするときが6~8G(生理的に耐えられるゾーンを超えているため戦闘機パイロットはGスーツを着用)です。
6G以上の領域になると血液が心臓より上、とくに脳まで血が行き渡らず結果酸欠となります。人間は3秒ほどで酸欠になりますので、僕たちパイロットはいきんで体に力を入れる、特殊な呼吸法で事前に酸素を脳に送っておきます。
–12Gを感じてるときはどんな心境?どんなカラダの変化が?
10Gを超えて12Gの領域まで達すると、前述の酸欠の問題に加えて、Gによる動的なショックが大きくなります。首を真っ直ぐにしてないと筋力だけで耐えるのは困難となります。
例えるなら、ボクシングみたいな感じだと思います。衝撃に構える感じ。頭上からパンチのような衝撃を受けながらもミリ単位の操縦をして正確にコントロールしている感じです。
–なぜ大会ルールは12Gと定められているのですか?
機体設計上の制限がもともと12Gだからです。機体の強度設計において、運用制限値の1.5倍の負荷に耐えられる必要があります(安全率)。さらに、2.0倍までは短時間耐えられる事がもとめられます。
これまではエアレース独自のルールとしてGの制限を低く設定していました。
過去大会では10Gを0.6秒超えるとDNF(Did Not Finish=ゴールせず)でしたが、現在は11Gを超えるとペナルティで+1秒追加、12Gを超えるとDNFになります。
–コースレイアウトでオーバーG(11G〜12G)しそうなポイントとは?
Gは旋回の時にかかります。機体の速度に比例してGがかかるので、高速で進入するコーナーがポイントとなります。
レースの見どころでもあるバーティカルターンだけでなく、実は水平に近い横ターンもオーバーGに陥りやすいポイントです。
–最大重力加速度が12Gになったことで見所は?
DNF(Did Not Finish=ゴールせず)になる可能性が少なくなった分、最後までレースを飛べるようになって、観客もパイロットもより面白くなったと思います。
室屋義秀(むろや よしひで)
1973年1月27日生まれ。
ふくしまスカイパーク(福島県福島市)を活動拠点とし、曲技飛行の啓蒙活動として全国各地でエアショーを実施している。
http://www.yoshi-muroya.jp
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